県内企業など47団体で構成する「世界自然遺産推進共同企業体」も26日、那覇空港内の日本トランスオーシャン航空(JTA)メンテナンスセンター内に設置された会場でユネスコの審議を見守った。コロナ禍で窮地に立たされる県経済界にとって登録決定は観光復活に向けた好機となり、「非常に明るいニュースだ」「世界に沖縄を発信していきたい」と喜びを爆発させた。
共同企業体の代表を務めるJTAの青木紀将社長は「いろいろなことを乗り越えての登録で達成感がある。持続可能な地域づくりに取り組んでいく」と喜びをかみしめた。
沖縄美ら島財団の花城良廣理事長は「自然環境を守る取り組みはこれからがスタートだ。自然に関する調査研究はもちろん、海洋博公園を活用しながら観光客も含めた啓発活動にも力を入れたい」と力を込めた。
沖縄は2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界文化遺産に登録された。
沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長は「一つの県に、文化と自然の二つの世界遺産を持っているのは国内では珍しい。今後、鹿児島県とも連携し、情報発信や持続可能な観光の取り組みを強化していきたい」と強調した。
JTB沖縄の杉本健次社長は、欧米富裕層の誘客に大きく寄与すると期待し「ガイドの多言語対応やキャッシュレス化を進めないといけない」と指摘。その上で環境保全について「地元と打ち合わせして、観光客数を制限する仕組みなどを早急に作っていく必要がある」と述べた。一方、国内の世界遺産所在地では、登録後のブームが一過性で終わった例もある。国頭村のやんばる国立公園内で、「アダ・ガーデンホテル沖縄」を運営するフロンティアリゾートの中田謙二代表は「プラスになることは間違いないが、過度な期待はせず淡々と経営していきたい」と話した。