自民党沖縄振興調査会が示した沖縄振興の提言案では、政策課題として「産業育成」「離島振興」「子どもの貧困対策」など8項目が示された。日本復帰から約50年続く県民所得の全国最下位から脱却を目指し、全国一低い労働生産性などの改善を訴えた。子どもの貧困対策では対象世帯の「所得確保が重要」と明記し、付加価値の高い就業支援を打ち出した。新型コロナウイルスの感染で露呈した観光産業の脆弱(ぜいじゃく)性の改善や離島振興も踏まえて、「デジタル」と「グリーン」(脱炭素)分野へ投資を集中させ、中小企業の事業構造の変革を訴えた。
経営基盤が弱い中小企業の多さや労働生産性の低さが「低所得の要因」とした。労働生産性や子どもの貧困対策のためにも付加価値に占める人件費の割合を示す「労働分配率」の適正化を挙げた。
一方、県内に投下された公共投資などの資金が県内で循環せずに、県外へ流失する「ザル経済」の解決策などの記述はなかった。
子どもの貧困対策では「親が十分な所得を得られる職に就ける支援をする必要がある」として、ひとり親世帯の親のIT技術支援を進める経営者の取り組みを生かすことを提言した。
沖縄の離島は「世界第6位を誇るわが国の管轄海域の形成に大きく貢献している」として、離島振興の意義を強調。輸送コストに起因する割高な生活コストの解消に向けた施策展開の必要性を挙げた。
(梅田正覚)