「必要性について根拠を」 県の大型施設休業要請に事業者ら反発、効果疑問視


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 新型コロナウイルスの新規感染者数の過去最多更新が続く中で、玉城デニー知事は29日、人流を抑制する対策として8月7日から15日まで、床面積千平方メートル以上の大規模施設に土日祝日の休業を要請することを発表した。また、政府も8月22日までとしていた沖縄の緊急事態宣言を同31日まで延長する方針を固め、県内の経済関係者からは規制強化への反発や宣言効果に対する疑問の声が上がった。 

 6月に続く土日祝日の休業要請は、食品や衣料品などの生活必需物資販売を除くショッピングセンターやパチンコ店、スポーツクラブ、映画館などが対象となる。千平方メートル以下の施設にも協力を働き掛ける。

 6月の要請時には、衣料品の専門店などを休業するかどうかの判断がショッピングセンターごとに分かれた。県は「結果的に多くの店が開いている施設に人が集まり、人流抑制の観点からは望ましくない」として、休業要請の対象から外す「生活必需物資」の定義を厳格化するとした。

 デパートリウボウ(那覇市)を経営するリウボウインダストリーの糸数剛一会長は、中元や盆関連の需要が高い7月から8月は年間でも屈指の繁忙期であり、特に週末や祝日の客数は平日の数倍に上るため「休業によるダメージは計り知れない」と指摘する。現時点で県からの説明は一切ないとして、「休業を求めるなら、必要性について科学的な根拠と実効性のある対策を示してもらわないと、到底納得がいかない」と強調した。

 緊急事態宣言の8月末までの延長に対し、県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は「延長しても変わらない。国や県を挙げて検査態勢を強化するなどやってほしい」と力なく話した。例年最も観光客が多くなる8月が全て緊急事態宣言下となるのに加え、9月以降の修学旅行についても「既にキャンセルが出ており、さらに広がらないか不安だ」と影響が長期化することを懸念した。

 県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は「同じことを続けて、ただ延長してもらちが明かない。県には、県警と協力して風営法の面から(深夜営業店舗を)巡回するなど、独自の強力な取り組みをしてほしい」と求めた。