「届けよう和の心 若葉が奏でるハーモニー」をテーマに、31日から8月6日までの7日間、和歌山県を舞台に「第45回全国高校総合文化祭」(文化庁、全国高等学校文化連盟など主催)が開催される。「高校生最大の文化の祭典」といわれる同大会は、昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、オンラインでの開催となった。今年は2年ぶりに一堂に会しての開催となる。
県内からは器楽・管弦楽部門や郷土芸能部門など、17部門に370人が参加する。新型コロナで部活動が制限され、思うように練習ができない中、個人練習を重ねたりイメージトレーニングに集中したり、生徒たちは工夫を凝らしてきた。夢舞台に向けて意気込む高校生たちを紹介する。
器楽・管弦楽部門には、県内18校から51人が集合した県合同オーケストラが参加する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で演奏する機会を奪われてきた生徒たちは「集まって音を重ねる喜び」を感じながら、限られた時間で練習をしてきた。
曲目は、フィンランドのJ・シベリウスが作曲した交響詩「フィンランディア」。指揮を執る宮城浩信教諭(美里)が選曲した。ロシアの圧制下にあった19世紀末のフィンランドで、民衆が奮起して苦難に立ち向かう情景を表現した曲だ。宮城教諭は「生徒たちは長い自粛生活を強いられている。楽器を吹けない生徒も多い。それでもめげずに乗り切ろうとする気持ちは、この曲の背景に似ている」と選曲理由を説明した。
17日、2回目の合同練習が沖縄市の美里高校であった。「もっと突き抜けるように」「音の厚みが足りない」「休符の間も音が残るように」。宮城教諭の指摘を受け、生徒たちはすぐに音を変える。生徒たちの表情は明るく、休憩時間になっても自主練習に励んだ。
トランペットの黒川命有(めあり)さん(16)=開邦2年=は「コロナの影響で、一人の練習ばかりだった。そんな中で、複数校から集まったメンバーと演奏できることがとてもうれしい。音の粒がそろったとき、演奏する喜びを一緒に感じているようで興奮する」と満面の笑みを浮かべた。
「管楽器がいると音の厚みが出て迫力が出る」と楽しそうにしていたのは、バイオリンの屋嘉比紫温さん(16)=首里2年=と、外山琉太さん(17)=那覇国2年。外山さんは「他の楽器があるからこそ出せる音もある」、屋嘉比さんは「改めて音楽の力を感じた。会場でも楽しみながら演奏したい」と話した。