ライフル射撃の第59回全国高校選手権大会が8~11日、広島県のつつがライフル射撃場で行われ、学校対抗戦エアライフル男子で興南(小浜章太、玉栄藍人、和田唯我)が1192・3点で初優勝を飾った。同種目で、2大会連続優勝(2020年は新型コロナウイルスで中止)を狙った女子興南(仲嵩彩花、屋宜さくら、山田百恵)は準優勝だった。個人戦では、女子10メートルエアライフル少年立射40発競技で興南の山田が接戦を制し優勝、同種目の男子でも興南の玉栄が2位に入り、好成績を残して大会を終えた。
男子 唯一の3年、玉栄けん引
先輩たちが果たせなかった全国制覇の夢を2年越しに果たした。男子興南が、エアライフル学校対抗戦で初優勝を飾った。中でもチームをけん引したのは、唯一の3年生、玉栄藍人だ。2年前に優勝を逃した先輩の悔しそうな姿をそばで見ていた。玉栄は「自分が優勝すると漠然としたイメージを常に持っていた」と表彰台の頂点に立つ姿を想像し、有言実行した。
大会に至るまでには新型コロナウイルスの影響で、射撃場が使えず練習時間が激減した。その中でも、7月の九州選手権大会で、少年男子エアライフル60発の個人種目で優勝したことが、大きな自信につながったとし「自分の技術、能力を信じて最後までいけた」と迷いを振り払い引き金を引いた。その結果対抗戦はチーム唯一の400点台を出し、個人では10メートルエアライフル立射40発でも2位に付けた。「個人は優勝は逃したが、団体優勝は予想外だったので本当にうれしい」と声を弾ませる。
「先輩と高校で組む最後の大会で良い形で終えられた」と語るのは、アンカーを務めた2年の和田唯我。2年の小浜章太とともに390点台と高得点を維持し成し遂げた悲願の初優勝に3人とも「練習できない中励ましあってやってきた。最高です」と語った。
女子・山田 自分信じ驚異の逆転劇
予選4位通過からの驚異の逆転劇でエアライフル少年女子立射40発で、興南の山田百恵(3年)が全国の頂に立った。予選の得点が、学校対抗戦の総得点にも加算されることもあり「団体戦のことを意識しすぎたこともあって緊張した」という。
25発で行われる決勝は「自分との戦い。良い意味で気楽に行けた」と緊張から解き放たれ、練習通りの射撃をした。優勝を狙うあまり、順位を落とした苦い経験から「やってきたことを信じて引き金を引いた」
徐々に調子を上げ、15発目でついにトップに躍り出ると「(的を)狙いすぎると外れる。すぐ引き金を引くことだけに集中した」。深呼吸で気持ちを落ち着かせ、自分の射撃を何度も頭で繰り返し一発一発撃ったという。コロナ禍で練習が大幅に減る厳しい環境下でつかんだ栄冠に「たくさんのお祝い連絡がきて、すごい大事になったと実感している」と優勝の余韻に浸っていた。