胎児の遺骨か…激戦地の壕で発見 沖縄・糸満


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 遺体の検視をする医師らが所属する日本法医病理学会と、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表が糸満市伊敷の壕で遺骨収集を共同で実施したところ、沖縄戦戦没者とみられる胎児の可能性が高い遺骨を見つけた。同学会が胎児とみられる遺骨を見つけるのは初めてという。収集は10日に実施した。

 日本法医病理学会は具志堅さんの要望を受け、4年前から遺骨収集と身元確認作業を共同で行っている。伊敷の壕ではこれまでに、子どもとみられる遺骨や男女の遺骨など複数を具志堅さんが発見した。一緒にジーファー(かんざし)や日本軍の遺品なども見つかっている。

 10日の遺骨収集は、学会の近藤稔和理事長ら理事6人と和歌山県立医科大学の学生2人など計8人で実施。少なくとも8~10体の遺骨が壕と周辺の3カ所に分かれて見つかった。

 胎児とみられるのは手や足の骨で、近藤理事長は大きさから「胎児、もしくは胎児の可能性を強くうかがわせる」と話した。

 収集した遺骨で、DNAが抽出できそうな歯などは、県の戦没者遺骨収集センターに届ける。

 同学会は、来年度は沖縄での収集回数を増やす方向で検討中。近藤理事長は「少しでも身元判明の手掛かりを見つける助けになれれば」と話した。

成人の遺骨に混じっていた、胎児の可能性を強くうかがわせる遺骨
遺骨の破片を確認する沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表(左)ら=10日、糸満市伊敷(日本法医病理学会提供)