沖縄で水難事故急増 上半期41件、死者21人「コロナ禍、川に行きたくても控えて」


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
中2男子生徒が溺れた牧港川。現場には川に下りるための階段式護岸がある=13日、浦添市当山

 浦添市当山の牧港川で中学2年の男子生徒(14)が遊泳中に溺れて死亡する水難事故が発生した。県内では、夏場にかけて水難事故が多発する傾向にある。県警地域課によると、2021年1~6月末時点での水難事故発生件数は20年同期比で17件増の41件で事故者も31人増の58人だった。死者も8人増の21人となっている。県警は関係機関と連携し、注意を呼び掛けている。

 県警地域課によると、2020年の1年間で発生した水難事故件数は85件で、過去10年の数値でみると、16年と並んで過去最多だった。死者数も過去10年で最多だった16年の47人に次いで42人だった。21年上半期は過去最多だった20年上半期を上回るペースで推移しており、県警は広報活動などの取り組みを強化していく方針だ。

 19~21年の3年間での県内河川における水難事故は6~10月にかけて多く発生している。死亡例は19年6月の那覇市牧志の安里川、20年6月の沖縄市泡瀬の水路、同年9月の中城村泊の水路など30~80代の男女5人が亡くなっている。

 県警地域課は「関係する教育委員会に事故概要を説明し、再発防止の対策を促すとともに、発生場所を管理する市町村や港湾施設などへ安全管理を依頼するなどの対応を行っていく」とし、関係機関と連携した取り組みを強化していく方針だ。

 牧港川での水難死亡事故を受け、河川管理者の県中部土木事務所は12~13日にかけて、管内にある12河川の目視調査を実施した。

 現場は、川に下りることができる階段式護岸となっていた。河川にある階段式護岸の破損状況や滑り具合、近くに深みがないかなどを確認した。中部土木事務所によると、複数箇所で2メートル程度の深みがあった。注意喚起を促すためのコーン標識を設置して対応する。調査結果を踏まえた上で、深みを解消するための工事が必要かどうか、検討する予定だ。

 担当者によると、同じ現場での事故はこれまでには確認できていないという。中部土木事務所は「コロナ禍の夏休み、河川に行きたい気持ちも分かるが、深みがあるなど、危険な場所での遊びは控えてほしい」と呼び掛けた。

 (当間詩朗、友寄開)