新型コロナウイルスの感染爆発を受けて、政府は沖縄への緊急事態宣言を9月12日まで延長すると発表し、5月23日から始まった宣言期間は計113日間に上ることになった。長引く行動の制限で県民に広がる「自粛慣れ」に加え、水際対策の漏れやワクチン接種の停滞など、課題も複合的に重なり合っている。宣言の延長によって劇的な感染者数の減少に結びつけるためには、感染拡大要因を一つずつ改善することが不可欠となる。
内閣官房によると、本土でのお盆を含む9日から15日までの期間、羽田や伊丹など全国6空港から沖縄への渡航者数が前週(2日~8日)の7万8772人から約1.15倍増の9万554人に上った。
政府は感染抑制を図るため、7月20日から8月31日まで、6空港から沖縄、北海道、福岡に向かう搭乗者を対象に無料のPCR・抗原検査を実施する。だが受検者はわずか3%にとどまった。その上、公表されるのは、各空港などでの検査総数と「陽性者疑い」の総数のみで、沖縄への渡航者に限った検査数や陽性率は不明だ。
こうした中で、県外からの「移入例」は3~9日の間で68人確認され、1週間当たりでは過去最多を記録した。来県する人の検査への意識の低さも浮かび上がるが、結果的に、水際対策の漏れが生じている。
一方、県民の間でも若い世代の感染が深刻だ。県の疫学統計・解析委員会によると、7月12~8月15日までの期間、全感染者のうちの20~30代の割合は4~6割と高いレベルで推移している。長期間の自粛に休業や時短営業要請に応じていた飲食店などもしびれを切らし、17日現在で非協力店舗は過去最多の493店舗に上った。
さらに、県民のワクチン接種率も停滞している。県民の接種率(2回目)は17日現在で、25.5%と全国で最も低い。特に感染が多い20代の2回目接種率は16日現在で6.79%、30代は10.09%だ。
玉城知事は主に若い世代に向けて「ワクチン接種を検討していただきたい」と呼び掛けるが、政府からの配分量、希望するすべての人が接種できる体制も含めて、環境整備が十分に整っていない面もある。感染者数の高止まりは、医療提供体制や経済のさらなる停滞に直結する。山積する課題を直視し、改善する努力が行政、県民のすべてに突きつけられている。
(梅田正覚、安里洋輔)