自粛生活で市場まで行けない人へ 「おんなの駅」の移動販売、地域で好評


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
移動販売を訪れる高齢者らと会話を楽しみながら農産物を販売する(左から)大城平さん、中村朋子さん=13日、恩納村谷茶

 【恩納】恩納村の特産物などを取り扱う「おんなの駅なかゆくい市場」が毎週金曜に行う移動販売が好評だ。コロナ禍の自粛生活で市場に足を運べない村民のために始めて1年余り。高齢者の楽しみになっているほか、働く世代の利用も多く地域に定着している。

 「野菜の移動販売が来ています」。13日午後、谷茶区に集落放送が響いた。住民が財布と買い物袋を手に1人、また1人と集まってきた。軽トラックの荷台やその周りに、青切りミカンや米、モロヘイヤ、ヘチマなどのほか、旧盆を前に仕入れたスイカなど約40品目が並ぶ。

 「これは何?」「甘トウガラシ。天ぷらにするとおいしいですよ」「買ってみようね」。客は販売員と会話しながら豊富な品ぞろえに目を通す。70代女性は「(うるま市)石川まで行かなくても新鮮な野菜が手に入り助かる」と話した。

 移動販売を担うのは同市場の大城平さん(34)と地域おこし協力隊の中村朋子さん(45)。朝、村内の小規模農家が持ち寄った農産物を集荷場で仕入れ、売店のない谷茶区と村役場など3カ所を巡回する。

 大城さんは「忙しいが楽しい。移動販売をきっかけに市場の地元客も増やしたい」と意気込む。中村さんは「『おいしかった』という声を生産者のおじい、おばあに伝えると喜んでもらえる」と笑みをこぼした。

 地域の要望を基に今後、回数や経路を増やしたい考えだ。