焼肉バンボシュ牧志店が閉店 コロナで客減 苦渋の決断


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取り壊す前の焼き肉ステーションバンボシュ国際通り牧志店(山の内観光提供)

 那覇市国際通りのむつみ橋交差点近くにあった「焼肉ステーションバンボシュ国際通り牧志店」が、新型コロナウイルスの影響により2月末で閉店した。バイキング形式で食べ放題の焼き肉店として部活動やクラス会、模合で集まる場所として親しまれ、クルーズ船の寄港が増え始めた5年ほど前からは外国人客も急増した。だが、新型コロナ感染拡大で国際通りから急速に客足が消え去り、9月に予定していた開業20周年の節目を迎えることはできなかった。

 バンボシュ国際通り牧志店は、ホテル経営の山の内観光(那覇市)がフランチャイズ方式で開業し、その後、独立して運営してきた。バンボシュグループは別会社が運営する南風原店と宜野湾店が現在も営業を続けているが、浦添店も昨年に閉店した。

バンボシュ国際通り牧志店の閉店の経緯について語る山内悦子店長=17日、那覇市牧志のホテル山の内

 国際通り牧志店は手作りイカスミ汁や中身汁など豊富なサイドメニューが人気だった。山の内観光の家族経営ならではのアットホームな雰囲気で、定期的に家族で利用する客など長年の常連も多かった。

 山内悦子店長は「チャイルドシートに座っていた子がいつの間にか小学生になり、学生の時に来ていた人が夫婦になって来店していた」と懐かしむ。

 コロナの感染者数が急増した昨年8月から、長期休業が続いていた。営業再開のタイミングを見計らいながら感染対策を尽くしてきた。だが、テーブル中央に焼肉の機材を設置する構造上、パーティションが置けないなど対策にも難しさを感じていたという。

 雇用調整助成金で従業員の雇用を守ってきたが、長期化するコロナ禍で財政状況は厳しさを増し、営業再開を見ないままに30人ほどいた従業員も3月末で契約終了した。「家族の次に同じ時間を過ごしてきたメンバー」という開店時から勤続している従業員もおり、苦渋の決断だったという。

 既に建物は取り壊しており、同地は秋ごろからコインパーキングとして業態転換する。山内店長は「コロナに勝てなかったが、これからも微力ながら地域のために頑張っていく。お客さんからたくさん元気をもらえた。感謝を伝えられないまま店を閉じたのが心残りだ」と話した。 (中村優希)