新型コロナウイルスの新規感染者と共に増え続ける自宅療養者。22日現在の沖縄県内の自宅療養者は2821人と過去最多となり、入院・療養など調整中の2714人も含めると、自宅などで症状改善を待つ人は、5千人を超える。那覇市の50代女性は今月上旬に発症し、軽症だったため自宅療養となった。だが、家庭内で夫も2次感染した。状態が悪化した際には「このまま死ぬかも」と不安に陥った。
「何か体がだるい」。異変を感じたのは8月1日。7月下旬に50代の夫と一緒に、那覇市の集団接種で1回目のワクチンを打ったため「副反応」と思った。だが、2日には熱が38度台に上がり「風邪の引き始めかも」と思い市販薬を飲んだ。3日にはのどの痛みも出始めた。感染につながる心当たりもなかったが、夫の母も同居しており、この頃から家族と食事をせず、接触を避けた。
4日朝は熱が引き「治ってるかな」と一安心したが、夜に39度台に上がり、県のコールセンターに連絡した。「発熱とのどの痛みだけなら検査は必要ない」と言われ、悪化したら医療機関に行くよう促された。不安だったが、言われた通りに受け止めた。
症状にせきが加わったのは5日。6日には熱が波のように上下して、においもしなくなった。夫に車を出してもらい医療機関でドライブスルー検査を受けた。「陽性です」。軽症とみなされた女性は解熱鎮痛薬を処方され自宅療養者となった。
ただ、夜に悪化してせき込むことがあった。「このまま息ができなくなって死ぬかも」。自宅療養中に死亡する事例が頭をよぎり、胸が締め付けられた。「パニック。精神的に不安定になった」
9日には重症化の察知に役立つパルスオキシメーターが届いた。計ると97%くらいで正常値だった。「少し安心した」。7日から断続的に、県の相談窓口や保健所から症状を確認する電話もあり「何かあったら119番を」と言われた。それだけで安心できたという。症状も良くなっていった。
同時に同居する夫と母が気になった。検査すると母は陰性だったが、夫は陽性だった。11日、保健所から「療養期間終了です」と告げられた。それまで女性が使っていた部屋で夫の療養が始まった。感染者が爆発的に増える中、夫の健康状態確認は感染者の情報を共有するために政府が開発したHER―SYS(ハーシス)からの自動音声電話に代わった。
22日までに女性と夫も症状は療養期間を終えたが、後遺症がある。「毎日の晩酌が楽しみだったが、ビールがおいしくなくなった」。女性は味覚や嗅覚の異常、鼻づまり、せきが続いている。(仲村良太)