【記者解説】沖縄予算3000億円割れ…鮮明になった「基地」めぐる国と県の距離感


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内閣府(資料写真)

 内閣府が、26日に自民党本部で開かれる沖縄振興調査会(小渕優子会長)で示す2022年度沖縄関係予算の概算要求を2998億円とする方向で最終調整している。予算は概算要求額を下回ることが通例のため、12年度予算(2937億円)以降で初めて3千億円を下回る公算が大きい。

 ある与党議員は、減額幅が最も大きいのは道路や港湾など社会資本整備関連予算だとし、県民所得の低迷から抜け出せないのは「適正な所得分配が行われていないからだ」と指摘する。県外の大手企業に利益が還流する「ザル経済」の一因ともされる公共工事への偏重体質を改善したいという意思の表れともいえる。

 一方で、内閣府が一括計上する沖縄関係予算は、これまで政情に左右され続けてきたのも事実だ。

 象徴的だったのは、仲井真弘多元知事が、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の埋め立てを承認した13年末の動きだ。12月、安倍晋三前首相との会談で仲井真氏はそれまでの県外移設の主張を翻した。この時、政府側が用意したのが「予算増」という好餌だった。

 14年度は概算要求(3408億円)から93億円増の3501億円で決着。政府が基地負担の「交換条件」に沖縄関係予算を持ち出す構図が鮮明となった。新基地建設問題で対立する現在の県と国との関係は、当時の蜜月とは対照的だ。

 自民党や内閣府は、「日本復帰50年」の節目となる、来年度以降の沖縄振興の協議に玉城デニー知事をほとんど参加させなかった。「3千億円割れ」という額に、県と国の距離感が示されているようだ。(安里洋輔)