8月29日は語呂合わせで「焼肉の日」。沖縄では、海辺や公園などで焼き肉やバーベキューを楽しむ人々の姿が夏の風物詩となっているが、今年も昨年に引き続き新型コロナウイルスの影響で外出自粛ムードが続いている。そんな中、家庭消費を盛り上げようと、県内の飲食店や卸業者の間で、自宅で楽しめる焼き肉セットのオンライン販売を強化したり、テークアウト商品を拡充したりする動きが広がっている。
沖縄市役所向かいにある「ホルモン焼肉牛モン」(日曜定休)では昨年5月から、中カルビやハラミなどの人気メニューを詰め合わせた「お家焼肉セット」(600グラム、税抜き3590円)を販売している。
営業時間短縮や休業要請が続く中、少しでも売り上げを確保しながら多くの人に専門店の味を楽しんでもらおうと、食肉販売業の許可を取得しサービスを始めた。常連客やファミリー層まで客層は幅広い。鎌田宏貴料理長は「お肉は元気の源。おいしい焼肉を食べてコロナを乗り越えてほしい」と述べた。
那覇市牧志でステーキや焼肉メニューを提供する居酒屋「みずとみ精肉店」は昨年9月にECサイトを立ち上げ、ブランド肉の販売を強化している。
八重山石垣牧場で育った黒毛和牛など上質な肉の需要が高く、プチぜいたくを楽しみたい人や、沖縄旅行に来られなかった県外在住者からの注文が多いという。梶原健太郎副社長は「旅行や外出ができない分、いつもより食にお金をかける人も増えているのでは」と分析し、「販売を通し生産者支援にもつなげたい」と述べた。
オンライン販売なら全国配送が可能なため、都道府県をまたぐキャンペーンも活発化している。
JA全農は、運営する通販サイト「JAタウン」で「おうち焼き肉」キャンペーンを展開。29日までの期間中、全国の銘柄牛など対象商品を購入すると、焼き肉用のグリルやプレートが当たる抽選に参加することができる。JAおきなわもブランド肉「沖縄あぐー」の食べ比べセットを売り込んでいる。
「焼肉の日」を制定した全国焼肉協会も、食事券が当たる「全国ヤキニクまつり」を実施している。県食肉センターの担当者は「沖縄では年末年始と旧盆前後に肉の消費量が増える。今年は皆さんに自宅でお肉を楽しんでほしい」と呼び掛けた。
(当銘千絵)