多様な生物、豊かさを実感 小中高生が観察会 大宜味・喜如嘉ターブク


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自然観察会で生き物の特徴を聞く子どもたち=19日、大宜味村喜如嘉

 【大宜味】大宜味村内の小中高校生7人が喜如嘉ターブク(田んぼ)で19日、自然観察会を行った。野鳥観察の指導をしている「やんばる森のトラスト」の市田則孝さん、豊子さんが水田に住む生き物の特徴、飛来する野鳥や観察の仕方などを説明。子どもたちは望遠鏡をのぞき込みながら、見つけた鳥や生き物の名前を書き込んだ。

 喜如嘉ターブクには餌を求めて毎年渡り鳥が飛来する。この日も優雅に水田を歩くセイタカシギやリュウキュウヨシゴイ、かわいらしいセッカなど15種類の鳥が飛び交っていた。近くの山からノグチゲラが木をつつくドラミングも聞こえ、参加者が耳を澄ます姿もあった。

 喜如嘉に住み、小学生の頃から野鳥観察に親しんできた名護高校1年の安里満帆さん(16)は「小学生の頃にはたくさんいたバンが全く見られなくなっている。環境の変化が鳥たちに影響を与えている」と話した。

 市田則孝さんは「県内で水田が少なくなった今、喜如嘉ターブクはさまざまな生き物が生息するとても貴重な場所。全国的に絶滅状態のトビイロヤンマやカラスヤンマなどの希少なトンボも観察される。残念なことにそれらを狙って乱獲する人もいる。自然を守るため対策を講じる必要を感じる」と強調した。

 辺士名高校1年の上原蓬さん(16)は「自然を将来に残していくため、生き物は捕らず観察だけにしてほしい」と訴えた。

 大宜味中1年の高良心さん(12)は「世界自然遺産に登録された大宜味の良さを知り、たくさんの人に伝えていきたい」と述べた。

 喜如嘉で30数年前から野鳥観察を指導している豊子さんは「野鳥が来るということは食べ物の循環があり生物多様性につながる。やんばるは山だけでなく里を含め全ての場所が素晴らしい。子どもたちは観察会を継続することで環境の変化に気付き、地元の良さを感じている。これからも自然の素晴らしさを伝えていきたい」と力を込めた。
 (安里郁江通信員)