【記者解説】楽しく学べる環境を 目先の競争より大事なこと<全国学力テスト>


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 全国学力テストでの沖縄と全国平均との差は、今回の学習状況調査を踏まえると、子どもたちの学びの環境が他府県に比べ十分に整えられていないことの影響は否めない。

 沖縄は就学援助受給者が全国より多いことも示された。家計を支えるために仕事に追われるひとり親や、共働き世帯で育つ児童生徒の家庭学習を支援する仕組みが十分とは言えない。

 学力テストで高得点を目指すことに特化した学校の取り組みは、子どもたちの自主性を育むことの阻害要因になっていることは、以前から指摘されている。

 県内中学校の学力テストの結果は、学ぶ意欲につながらないまま、小学校から中学校に進学している実態を反映しているのではないか。

 授業を通し、学ぶ意味や楽しみ、興味関心を高められることができれば、おのずから学習意欲の向上につながるだろう。しかし、学校現場の教員は日常業務やコロナ対策などに追われ、子どもたちに向き合う余裕を持てない状況にあり、社会問題化している。教員の過重な業務の解消は急務だ。

 県教委は学力向上を至上命令としてきた経緯がある。競争を強いられた末に教員が疲弊し、児童生徒の自主性や好奇心の成長に貢献できなければ本末転倒であり悪循環だ。子どもたちが楽しんで学ぶことで将来の夢や目標を描けるような環境づくりが求められている。
 (嘉数陽)