萩生田光一文部科学相によれば、今回13回目となる全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の目的は、「コロナ下の学習状況を把握すること」である。そのため、一斉休校が実施された昨年度の履修内容が教科の出題範囲に含まれ、新型コロナが子どもたちの学びに及ぼした影響を調べたいという。
都道府県別平均正答率に基づき、学力調査の結果の要点を述べてみよう。第一に小中学校ともこれまで同様、秋田、石川などの各県が最上位に並んでいる。しかし、小中学校ともいずれの教科も、平均正答率に大きな差は見られない。第二に、文科省の公表資料によれば、臨時休業期間の長さと各教科の平均正答率との間には、全体として相関は見られないという。
新型コロナは、子どもと教師の学習にどのような影響を及ぼしているのか。いくつか指摘してみる。アンケートによれば、臨時休業期間中、「勉強について不安を感じている」と回答した児童生徒は、沖縄と全国のいずれも約6割である。子どもたちがコロナ禍で、学習に不安を抱いていることが分かる。休業期間終了後の「児童生徒の心身の状況のチェック」は、小学校92.5%(全国96.5%)、中学校92.9%(全国96.5%)で行われている。ここから、新型コロナによる教師の業務量の増加がうかがわれる。
今、コロナ禍が長引き、子どもたちの学びの場が大きく変化してきている。新型コロナは子どもの心身の状況をはじめ、自殺や児童虐待の増加、貧困問題なども深刻化させているという。教育行政は今、子どもと教師の学びの事実を正確に把握し、的確な教育条件整備に努めなければならない。