ホテル「かりゆしアーバンリゾート」10月末閉館 とまりん買収交渉は継続


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10月末に閉館する沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハが入居するとまりん=1日、那覇市前島

 県内ホテル業大手、かりゆし(恩納村)の玉城智司社長は1日、那覇市前島の複合ビル「とまりん」で運営する「沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハ」を、10月31日に閉館することを明らかにした。同社は今年1月、長引く新型コロナ禍での稼働の落ち込みや、入居賃料の大幅増額による経営の圧迫などを理由に、2022年1月末でとまりんから撤退する通知を、那覇市などに出していた。

 一方で、施設を買い取ってホテル運営を継続することについても検討を続けており、とまりんを経営する第三セクターの泊ふ頭開発(那覇市)に、ホテル棟の買い取りを提案している。交渉は継続中だが、仮に買い取りが成立したとしても老朽化した施設のリニューアルなどが必要なため一度撤退する。

 かりゆしが買い取りを検討するのは1階ロビーと、客室などが入る6~15階のホテル棟で、施設全体の約6割を占める。同社は不動産鑑定評価の結果を基に、7月末に希望額を提示した。泊ふ頭開発側は29日に予定される取締役会で諮り、今後の方針を決定する。

 かりゆしはすでに、とまりん内にあった本社機能を恩納村の沖縄かりゆしオーシャンビーチリゾート&スパ内に移転させている。パートを含む170人の従業員は、グループ内のホテルに配置換えし、雇用は継続する考えだ。

 玉城社長は「コロナの影響で先行きが見えない中、雇用を守るためにもこれ以上、賃貸で経営するのは厳しいと判断した」とし、「那覇のランドマークに入るホテルとして守りたかったが、経営の選択と集中をしていきたい」と述べた。10月にはこれまでの感謝を込めた県民向けキャンペーンを実施する意向も示した。

 泊ふ頭開発の玉城義彦常務は「撤退は残念だが、社としても社会情勢が変わり妥当な賃料を提示する必要があった。買い取り交渉に応じるか否か、経営上のてんびんに掛けないといけない」と話した。

 かりゆしの入居賃料を巡っては、2019年に泊ふ頭開発との間で訴訟に発展したが、21年9月から賃料を月額約500万円増額することで和解していた。