豊見城に植物工場整備へ 沖縄物産企業連合、無農薬で野菜 台湾から技術導入


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 沖縄物産企業連合(那覇市、羽地朝昭社長)は台湾から農業技術を導入し、沖縄県豊見城市内で同社初の植物工場の整備を進めている。年内にも稼働し、早ければ2022年1月に初収穫を見込む。通常の施設園芸と同様に太陽光を利用しながら、作物の生育状態に合わせた養液管理によって無農薬野菜を栽培する。県内では人工光型の植物工場が主流で、自然の太陽光を使って養液栽培する植物工場は珍しいという。生産した野菜は本土向けに販売し、沖縄発の新たな“物産”を目指す。

 植物工場は床面積が約990平方メートルで、鉄筋で高さ4メートルの骨組みを建設する。耐久性の高い特殊ビニールを台湾から輸入して外壁と天井を覆い、温度や湿度の生育環境を管理する。ゴーヤーをはじめトマト、ヘチマ、パプリカ、メロンなどの果菜類を栽培する予定。

 ビニールを透過する自然光を使用するため、発光ダイオード(LED)などを使った完全人工光の植物工場に比べて電気代が大幅に抑えられる。

 沖縄物産企業連合が整備する植物工場は、同傘下のO.T.アグリカルチャー(宮城弘岩代表)が運営し、今後、県内各地で展開するモデル工場としても位置付ける。

 宮城代表によると、植物工場の養液栽培は、一般の園芸栽培の植物と比べ成長が速いという。土壌栽培のトマトは一般的に年間2回の収穫だが、同植物工場では年間8回の収穫が見込まれる。自然光利用によるコスト低減と大量生産のメリットにより、作物の値段を安く設定できる。

 宮城代表は「大量生産で作物を安く売れるため、県外産と競争できる。県内では付加価値が高い産業が少ないため、県経済にも貢献できる。新たな植物工場で沖縄の新しい産業をつくりたい」と強調した。(呉俐君)

沖縄物産企業連合が整備する植物工場のイメージ(提供)
沖縄物産企業連合が整備する植物工場内の栽培風景イメージ(提供)