〈76〉痔瘻 根治手術が望ましい


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 痔(じ)と聞くと「いぼ痔」や「切れ痔」を想像しやすいかと思います。実は痔は三大痔疾患といわれ「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔瘻(じろう)」の3つが含まれます。痔瘻とはおしりの細菌感染です。

 肛門にはもともと便をスルッと出すための粘液を出すくぼみが8~10個存在しています。このくぼみに誤って細菌が入ってしまうことから病気が始まります。時期によって肛門周囲膿瘍(のうよう)という時期と、痔瘻という時期に分かれます。

 肛門周囲膿瘍とはくぼみに細菌が入り肛門の周りで化膿(かのう)してしまった状態を言います。徐々に肛門の周囲が腫れて熱を持つようになったり、四六時中痛いという状態になったります。自然にこの部分が破けて膿が出ることもありますが、破けずに腫れが改善しない場合には病院で穴を開けて膿を出してもらう必要があります。膿が出ると症状は消えていきます。

 次に痔瘻という状態です。肛門周囲膿瘍が改善したら病気がなくなったわけではありません。膿(うみ)が出て腫れが引いただけで、肛門の中のくぼみと膿を出した穴をつなぐように細菌の通り道(痔瘻)というものができて眠っている状態になっただけなのです。この通り道である痔瘻が残っているので、また細菌が誤って入り肛門の周りが腫れるきっかけとなります。

 肛門周囲膿瘍の膿を出して症状が改善したら痔瘻を根治する手術をすることが望ましいです。手術をすることで、次にまた膿がたまって腫れてしまうことを防ぐことができます。根治術には大きく2つの種類の手術があります。肛門を締める筋肉を切って治療する「切開開放術」と、この筋肉を切らないようにしながら治療する「括約筋温存術」です。手術後のおしりの締まりへの影響を少なくする場合には「括約筋温存術」を選ばれる方が良いです。その際には専門医のいる病院へご相談されるのをお勧めします。

(仕垣幸太郎、大浜第一病院・大腸肛門外科)