緊急宣言の延長「やむを得ない」 沖縄の経済界、段階的な緩和求める声も


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 緊急事態宣言について、沖縄など19都道府県で30日まで延長するという政府の方針が明らかになった。経済界からは新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う医療の逼迫(ひっぱく)を理由に、「やむを得ない」とする意見が相次いだ。段階的な制限緩和をして社会経済活動の一日も早い再開を求める声も上がった。

 県は8日、経済7団体の代表らを招き「経済再生出口戦略専門部会」の会合を開いた。参加者によると、緊急事態宣言の解除に向けて、県が独自にワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」を運用し、所持者にはイベント参加ができるなどのインセンティブを与えるべきだといった意見が出た。パスポートについて、県は今後作業部会を設置し検討を進めるという。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「医療現場の逼迫状態は続いている。まだ緊急事態宣言を解除して安心する状況ではない。若者を含めワクチン接種を加速的に進めることが必要だ」と話した。

 県商工会連合会の米須義明会長は、延長は想定内とした上で「最悪でも10月末には解除してほしい。感染者数が少しずつ減ってきているので、解除に向けて準備していきたい」と前向きに語った。

 県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「延長はやむを得ないが、事業者は店を開けたいという思いが強くなっている」と店舗の思いを代弁する。組合は6日から、県が提供した抗原検査キット8千回分を会員に配布している。「職場接種などやれることはやっているが、さらに万全な体制で感染防止対策に取り組んでいる」と強調。政府が検討する宣言下での酒類提供など、県の認証店を対象にした緩和も求めた。

 県工業連合会の古波津昇会長は「観光客の増加に伴い食品加工など県内製造業の力が付いてきた。宣言が長引けば、そうした努力が消えてしまう」と懸念する。「酒類提供自粛に協力しない店舗が感染拡大の原因にもなっているが、利用客も問題だ」と指摘し、利用自粛をさらに強く啓発する取り組みを求めた。