座間味村観光協会の臨時職員だった当時30代の男性が2017年10月から18年6月にかけて、領収書などを改ざんして協会の運営資金約95万円を横領していたことが10日までに分かった。観光協会は男性の親族が被害金を全額返済し、男性も辞職したことなどから、横領を公表しなかった。当時観光協会会長だった宮里哲村長は同日「隠ぺいと捉えられても仕方のないことだと思う。村民の皆さまには大変申し訳ない」と謝罪した。
観光協会によると、男性は臨時職員として採用後、協会が事務局を務める「ホエールウォッチングフェスタ」の開催前後に、領収書の改ざんや協会の口座から不正に金を引き出して着服した。男性は着服を認め、「ギャンブルや生活費などに充てた」という。
当時、観光協会では会計職員が通帳を管理していたが、男性が沖縄本島へ出張する際に通帳や現金を渡して、業者への支払いなどを頼んでいたという。18年7月、業者から支払われていないことを知らされ、調べたところ、男性の着服が明らかになった。
観光協会の谷口洋基事務局長は「職員の間でも信頼があった。通帳の管理体制が甘かった」と振り返った。現在は複数の職員が領収書の二重チェックや通帳の管理を徹底して再発防止に努めているという。
横領の非公表は理事会で決めた。男性の家族への影響を鑑み、被害金が返済されたことなどから「できれば穏便に済ませたい」と刑事告訴もしなかった。当時副会長だった阿武(あんの)靖士(せいじ)会長は「一部の理事からは責任を取るべきだとの意見も出たが、温情的な判断をしてしまった。結果的に村民の皆さんを裏切る形になった」と陳謝した。
座間味村では元村那覇事務所長の40代男性による4千万円の横領が発覚して、8日に宮里村長が記者会見を開いたばかりだった。観光協会での横領を受け、宮里村長は「村民や観光客の皆さまの信頼を損ねてしまった。これからも信頼回復に努め、業務にまい進したい」と語った。