「生理の貧困」の背景には、家庭の経済的困窮だけではなく、ネグレクトで生理用品も入手できない、父子家庭で親を頼れないなど、さまざまな事情が隠れている。経血量や重さ(生理痛)も個人差があり、生理用品の種類、さらに薬、下着など、かかる費用も人によって異なる。背景や個人差を知らなければ「なぜ月数百円を捻出できないのか」「生活保護につなげるべきだ」など、当事者を非難するようなことにもなりかねず、根本的な解決から遠ざかってしまう。
女性が「同性にも相談しづらい」と感じてしまうのは、日本では生理について学ぶ機会が少なく、女性であっても生理の個人差、正しい対処方法、関係する病気の存在など十分に理解していないということもある。生理の問題は学校、職場、家庭での生活にかかわるので、本来は全ての人が学ぶべき問題だ。
生理用品の購入ができない人は、医療の受診もできていない可能性がある。生理の症状が重い人は病院を受診する必要があることもある。
毎月、約1週間の不調は大きな負担だ。生理と無関係にこの世に生を受ける人はいない。自分の状態に応じて生理期間を安全に過ごせるようにするのは自助ではなく公助の問題だ。
(ジェンダー法)