まるで現代アート…サンゴと共に暮らすカニ<北谷の海辺散歩・生物調査から>6


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サンゴの奥に潜むオオアカホシサンゴガニ。撮影は困難だ=2015年8月、北谷町の宮城海岸沖(町教育委員会提供)

 今回はまず写真をじっくりと見てください。現代アートの巨匠が色付けしたかのような模様、ジッとこちらを見つめる黄緑色の目。私は主に植物を専門としているため、初めてこのカニに出合った時、見慣れぬ色彩にびっくりして二度見したのを覚えています。

 このサンゴガニの仲間は、イシサンゴ類の複雑に枝分かれした隙間をすみかとしています。サンゴが分泌する粘液を主食とし、これらを食べるときに使う顎脚(がっきゃく)と呼ばれる器官はくしのような形で、粘液を効率よくかき集めることに特化した形です。

 すみかのみならず、その分泌液を食べて、ほぼ完全にサンゴに依存している生き物は他にも見つかっています。未知の生物もたくさんいると考えられており、今後の研究が期待されています。

 (北谷町教育委員会学芸員 藤彰矩)