【記者解説】沖縄県財政、一時借り入れの異常事態 「債務不履行」可能性低いが…


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 新型コロナウイルスの感染拡大が県財政に異常事態を引き起こしている。緊急事態宣言では飲食店に対する休業要請などが対策の柱だが、この財源となる地方創生臨時交付金の交付ペースが沖縄県の実情に合っていない。このため県庁内では一時借入金が突発的に増え、現実味は薄いながらも、全ての公金の支出がストップする最悪の事態「債務不履行」を回避する方策まで検討され始めた。

 全国知事会は11日、国に対するコロナ対策の緊急提言を公表した。提言では協力金と国庫支出金の支払い時期にずれが生じ、都道府県の資金繰りが悪化しないよう要望した。「国は地方創生臨時交付金の概算払いの機会を増やしてほしい」などと求めた。

 玉城デニー知事も8月末、坂本哲志地方創生担当相とオンライン面談をし、機動的に予算配分が受けられるよう、感染状況が厳しい地域を対象に新たな予算の枠組みを創設するよう要望した。

 コロナの感染拡大が本格化した2020年度の県一般会計予算は過去最高に膨れ上がった。21年度はほぼ全期間で、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言などが続いており、過去最高を更新する見込みだ。

 県はこの2年間、コロナ対策費の捻出のために借金に当たる県債を大量発行し、貯金に当たる「財政調整基金」を大幅に取り崩した。

 過去に経験のない予算増額やキャッシュフローの規模拡大で予期せぬ事態に陥る可能性もあり、県の対応が引き続き注視される。
 (梅田正覚)