どうしたら必要としている人に生理用品を届けられるのか。継続的な支援につなげるために適切な方法はないのか―。県内の一部の自治体などで始まっている生理用品の無償配布をめぐって、行政側の模索が続いている。
糸満市は7月から「生理の貧困」の実態把握のため、試験的に庁舎内の女性用個室トイレに生理用ナプキンを5枚入り1パックにして置き、必要とする人が無償で使えるようにした。約2カ月で980パックが無くなっていた。同時に実施したアンケートには、配布に感謝する声や、生理用品の入手に困窮している声が多く寄せられた。
市は反響を踏まえ、10月から来年3月までの予定で事業の継続を決めた。個室トイレの配布のほか、受け取りを希望するカードと引き替えに、市庁舎などの窓口で生理用品1袋を手渡す予定。また日中働いている人や学生は庁舎に行きづらいことを想定し、庁舎外で、夕方以降や休日に対応できる場所を探している。
担当者は「受け取るハードルはできるだけ低くしたいが、配布をきっかけにして、必要に応じて生活支援などの相談窓口につなげたい。関係部署みんなで支援の方法を模索している」と話した。
県は9月から、県内10カ所で生理用品の無償配布を始めた。対面での配布時に、ニーズを把握するためのアンケートを実施している。県女性力・平和推進課の担当者は「デリケートな問題なので、対面での受け取りやアンケートに抵抗を感じるのは分かる」とした上で「生理用品を必要としている人がどれくらいいるのか、実態が分からないと支援の必要性を検証できず、予算が獲得できない。そのためにも今の方法を取らざるを得ない」とジレンマを吐露した。
(嶋岡すみれ)
【語れず知られず】