生理の貧困「知られたくない」…相談できず孤立 トイレットペーパーで代用も


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本紙アンケートで、生理用品の購入に困った経験のある人たちからは、無料配布などの支援を求める声が多く上がった

 経済的困窮や家庭内での孤立などが原因で生理用品の購入や入手に困る「生理の貧困」。琉球新報が7月に実施したウェブでのアンケートでは、1117件の回答が集まった。そのうち9%が生理用品が入手できず「困ったことがある」と回答。トイレットペーパーなどを代用してしのぐなど、誰にも相談できず孤立している様子がうかがえた。

 「生理の貧困」に関するアンケートの自由記述などからは、「不衛生で困る」「子どもの分だけでも支援を」など、窮状と支援を訴える当事者らの声が寄せられた。一方で、「同性にも相談しづらい」「知られたくない」という声もあり、支援を必要とする当事者を見付けづらい課題もある。生理用品が不足する状況を「理解できない」とする意見も寄せられ、「なぜ月数百円を出せないのか」「生活保護などの支援をすべき」「外食を1回我慢すればすぐに買える」といった声があった。

 生理用品の不足に困ったことがある当事者からは「学生時代給食費の未納があり、買ってと親に言えなかった」(40代)、「父親と暮らしていて、恥ずかしくて自分で買っている」(17歳、高校生)など、生活費のために生理用品代を節約する人や、親を頼ることができない高校生らの声が上がった。

 経済的困窮を訴える人たちの中には、新型コロナウイルスの影響で急な休業や失業などの影響を受けた人たちもいる。「家計を助けるため生理用品の購入を控えてしまう」(29歳、主婦)、「コロナでシフトを減らされて、食料優先で生理用品の購入が後回しになり、トイレットペーパーを重ねて過ごした」(33歳)などがあった。

 一方で、「学生への提供は理解できるが、社会人は携帯電話代や化粧品を節約して捻出できるのでは」「(繰り返し洗って使える)布ナプキンなどお金のかからない生理用品もある」などの意見もあった。

 アンケートは県教職員組合(沖教組)、県高等学校障害児学校教職員組合(高教組)、県内各大学などの協力を得て、7月14日から同月31日まで、ウェブで回答を募った。対象者は県内在住の女性で1117件の回答が集まった。


代用経験8割、交換減も 健康への影響懸念

 本紙が実施したアンケートで、過去1年間で生理用品の入手に困った経験のある102人のうち、トイレットペーパーなど生理用品ではない物を代用品として使ったことのある人は8割いた。交換回数を減らした人は9割いて、不衛生な状態で生理期間をしのいでいる人たちがいた。健康面への影響が懸念される。

 「トイレットペーパーなど、生理用品ではない物を代わりに使ったことがあるか」という質問に、「ある」が51%(52人)、「何度かある」は30・4%(31人)で、合わせて約8割に上った。「ない」は19人(18・6%)だった。

 「生理用品がない(または足りない)ことが理由で、交換する回数を減らしたことがあるか」の問いには、61・8%(63人)が「ある」と答え、「何度かある」は27・5%(28人)だった。「ない」は10・8%(11人)だった。

 過去1年間で生理用品の入手に困ったことがある102人のうち、6割は学生だった。3割は自分のお金で生理用品を購入している。父子家庭や保護者との不仲、虐待などさまざまな理由で親を頼れず、アルバイト代や昼食代を節約して生理用品を買っている学生もいた。

 生理用品ではない物を代わりに使ったことがある学生、交換回数を減らしたことがある学生もそれぞれ8割いた。アンケートには「先生に許可をもらわなくても気軽に取っていいという環境にしてほしい」(14歳、中学生)、「無料配布をもらっているところを見られるのは恥ずかしい。あらかじめトイレに設置してほしい」(20代、学生)などの声が集まった。