園児の検査に地域差 ワクチン接種できない幼児を守るには<記者のコロナ体験記>


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>>「家族で感染、自宅療養 幼児の対策に難しさ」から続く

保育園を通して渡された息子のPCR検査用容器

 9月3日、沖縄本島中部に住む姉の息子も感染が判明した。通っている保育園で陽性者が出たため、濃厚接触者として検査を受けた。私の息子と同様の事例だが、検査の対応は異なっていた。

 息子は濃厚接触者と判断された日に園から唾液を採取する容器を受け取り、翌朝、園を通して保健所に提出する流れでスムーズだった。おいは園から「濃厚接触者に当たるが、検査は各自、クリニックで受けてほしい」と言われたという。自分でクリニックを探し、翌日に検査を受けた。

 学校で陽性者が出た際、速やかに接触者のPCR検査をする「学校PCR検査」が9月22日から保育園でも始まった。園児はマスク着用もワクチン接種もできず、感染が広がりやすい。全県で速やかに検査が受けられるようにしてほしい。

 おいの感染判明後、姉夫婦と、おいをよく預かる実家の両親らはPCR検査を自主的に受けた。姉夫婦と両親らはワクチンを接種していたが、母が感染した。幸い、おいも母もほぼ無症状だった。ワクチンを接種するかは自由だが、やはり発症を抑えるのに有効だと感じた。

 息子が感染する数日前、保育関係者がコロナ対策について那覇市に要請する場面を取材した。「保育従事者は高い集団感染リスクの恐怖に直面している」と訴え、家族らがPCR検査などを受けた場合は結果が出るまで必ず登園を控えること、保護者の仕事が休みの場合は必ず家庭保育をすることなどを求めた。

 保護者が急に仕事を休むのは難しく、収入も減ってしまう。だが家族や自身が濃厚接触者・陽性者になった時の影響の大きさを考えると、感染拡大時はできる限り登園を控えた方が保護者にとってもリスクが少ない。企業も従業員が休みやすい環境を整えることが求められる。

 (伊佐尚記)