カヌーの男子カナディアンシングル1000メートルで東京五輪に出場した當銘孝仁(沖縄水産高―大正大、新潟・三条市スポーツ協会)は24日、母校の糸満中学校で講演した。五輪について「何もできな過ぎた。終わるに終われない。もう一回、フランス(パリ五輪)に向けて取り組む。納得いく形で終わりたい」と3年後の出場を目指して競技を続ける考えを明かした。
一度は2人乗りで東京五輪の出場を逃し気持ちが折れたが、1人乗りの選考レースの準備を進める中でモチベーションに変化が生まれた。他選手に出場枠を取られるかもしれないことが「怒り」となって奮起し、レースを勝ち抜くことにつながったと振り返った。
しかし五輪本番では力を出し切れなかった。前日まで「下準備もできて調子は良かった」が、レースでは何もできなかったという。今でも「なぜか分からない」と首を振った。直後は引退して指導者になることも考えた。ただ当時のことを思い返すうち「何もできな過ぎで、それが怒りになっている。これでは教える人たちにも説得力はない。今後教える立場になるとしても、すっきり終わってからと思う」と後輩たちの前で新たな決意を語った。
生徒たちに向けて「最後はメダル取って終わったら格好いいよね。自分は格好つけだから。みんなも格好つけよう」とメッセージを送り、好きなことに取り組むよう呼び掛けた。
講演はオンラインで別室から行い、代表数人以外の生徒は各教室で聴いた。3年生の西蔵茉樹さん(14)は「目標を決めることの大切さを学んだ。小さい目標でもやりたいと思ったことに突き進むことが大事だと思った」と感想を述べた。