うるま市の沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターに入居する由風(ゆかぜ)BIOメディカル(中濵数理代表)が、細胞培養加工施設(CPC)を整備し、再生医療事業を始める。理化学研究所の関連企業である理研免疫再生医学(東京都)と業務提携し、同社が開発したがん免疫治療法の「NKT細胞標的治療(RIKNKT)」を県内で提供する。
RIKNKTは、患者の血液成分から治療薬を開発して体内のNKT(ナチュラルキラーT)細胞を活性化させ、がん細胞を攻撃する方法。副作用が少ないとされ、がんの種類にかかわらず効果が期待できる特徴がある。
由風BIOメディカルは、県内の医療機関に通う患者から採取した血液成分をCPCに送り、細胞培養して治療薬をつくり、病院に提供することを計画している。
1週間おきに計4回、皮下注射する治療法となる。1人あたりの治療費は350万円ほど。
沖縄バイオ産業振興センター内に整備するCPCは、日立グローバルライフソリューションズが提供する。12月に厚生労働省に事業開始の申請手続きをし、認可が下りれば、2022年7月ごろから製品提供の体制が整う。県内で約50人を雇用する予定。
由風BIOメディカルは、県が豊見城市与根に建設を計画していた細胞培養加工施設で事業を始める予定だったが、建設計画が白紙となったためうるま市での取り組みに切り替えた。事業開始から3年後に売上高10億円とする事業計画を立てている。
中濵代表は「リゾート地の沖縄で再生医療を提供することで、外国客の医療ツーリズムも期待できる」と話した。