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変化はビジネスチャンス、続く挑戦 空気清浄機サービス社長・山城真志さん


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山城真志さん

 絵を描いたり工作したりと、手を動かすのが好きな子どもだった。将来はグラフィックデザイナーとして広告デザインの道に進もうと考えていた。

 転機が訪れたのは武蔵野美術大学在学中。当時、NHKの連続テレビ小説「ちゅらさん」をきっかけに“沖縄ブーム”が全国で巻き起こっていた。沖縄物産の卸業を立ち上げた親戚に誘われ、仕事に携わるように。「ブームに乗って、泡盛や沖縄そばが売れていった。仕事が楽しかった」。父親の背中を追うようにビジネスの世界に足を踏み入れ、夢中になった。

 那覇市出身の父、幸松さんは、1981年に空気清浄機の保守メンテナンス事業を請け負う会社を創業した。現在では分煙機、集じん機、業務用エアコンなどの販売、レンタル、メンテナンスなど幅広く展開する。

 父親が体調を崩したのを機に11年ほど前から会社に関わるようになり、2017年に父の跡を継いだ。

 「経験値はなかったが、父の近くで仕事をし、これまで人との関係づくり、コミュニケーションの取り方を学んできた」と振り返る。

 近年の職場環境改善への高まりに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で「空気質」への関心の高まりも追い風に実績を伸ばす。

 「焼き肉店の増加とともに、空気清浄のニーズも増えてきている。いろんな汚れが増え、サービスも多様化している」と目を輝かせる。

 空気清浄機サービスのほか、沖縄で海ぶどうの養殖・販売事業やコーヒー栽培の事業も手掛ける。「何かを変化させていくときが一番楽しい。変化し続けるところにビジネスチャンスがある。これからもチャレンジしてきたい」。

 整骨医・針きゅう師からのニーズを商機に事業を立ち上げた父親の起業家スピリッツを受け継ぐ。


 やましろ・しんじ 1980年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学中退。2017年に空気清浄機サービス社長に就任。海ぶどう養殖・販売を行う「海ん道」(糸満市)社長、「珈琲農園やんばるかふわ」(国頭村)を運営する。関東沖縄経営者協会理事。