【深掘り】米軍の「逃げ得」? 普天間PFAS濃度上昇、汚染水との関連認めず


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 米軍普天間飛行場からつながる宜野湾市の公共下水道で高濃度の有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が検出された問題で、米海兵隊による汚染水放出が影響している可能性が高いことが市や県の調査結果から読み取れる。一方、米軍は関連を認めていない。汚染水は放出され「現物」(県関係者)が残っていないことで米軍の「逃げ得」となる恐れも出てきた。

 汚染水の取り扱いについて日米両政府が協議中の8月26日、米軍は独自の処理をしたとして一方的に下水道へ流した。残りは日本政府が負担して焼却処分することになった。

 米軍は9月30日、放出から約3週間後となる同14日の調査結果を示し、PFOS(ピーフォス)は1リットル当たり15ナノグラム、PFOA(ピーフォア)は同3ナノグラムにとどまると発表。一般的な下水での濃度と同じだとし、「現時点では(暫定指針の13倍に上った)宜野湾市の調査結果を説明する基地内の発生源を特定できていない」と主張した。

指針値13倍

 一方、宜野湾市や県の調査結果は米軍の行為が影響している可能性が極めて高いことを示している。

 市は放出当日、普天間飛行場からつながる下水道から採水した。基地以外の家庭廃水などと合流する前の地点だ。分析結果は、PFOS・PFOA合計で日本の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)の13倍に当たる同670ナノグラム。市が過去に調べた数値と比べても突出している。

 市は放出から2週間後の9月9日に再び同じ地点の水を採って分析。1リットル当たり19ナノグラムに低減していた。米軍の放水直後に数値が上がっていた可能性が高い。

県の調査

 県も放水当日の8月26日、下水が流れ着く宜野湾浄化センターで採水した。PFOSとPFOAが計1リットル当たり21ナノグラム検出された。他の下水も合流しており、暫定指針値を超えなかったが、米軍による放水前に比べると約2.1倍だ。

 米軍は「PFOSとPFOA合わせて1リットル当たり2.7ナノグラム以下に処理して流した」と説明している。だが米軍が単独で放水しており、適切に処理した証拠はない。9月30日の報道発表で「汚染源の特定に向けて地元の調査に協力する用意がある」とも述べたが、具体的な方法は示さなかった。

 県や市は引き続きデータの蓄積に向けて調査を続ける。米軍が原因をうやむやにすれば、基地を提供する日本政府の責任も問われてくる。
 (明真南斗)