辺野古新基地の美謝川切り替え強行 防衛局、沖縄県と協議中に


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 沖縄防衛局は1日午前、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う美謝川の水路切り替え工事を始めた。県との間で、埋め立て承認に基づく実施設計の協議と、森林伐採やそこでの工事に伴う林地開発の協議を継続中だった。県はまだ協議が調っていないとして着工しないよう求めていたが、防衛局は「協議は十分だ」と判断した。県は1日、改めて工事を止めて県と協議するよう求める文書を送った。 

 防衛局は埋め立て承認に基づいて実施設計や環境保全対策について県と協議する必要がある。美謝川は新基地建設に伴う埋め立てで大浦湾側の河口部がふさがれるため、水路や河口の切り替えを実施する。

 県によると、5月から協議を始めたが、環境保全措置に疑義が残っていた。防衛局は「県との間で十分な質疑応答や意見交換がなされたと判断した」と主張した。

 森林法に基づく林地開発行為でも防衛局は5月、県に協議を申し入れたが、県は書類が足りないとして受け付けていない。必要書類をそろえるよう求めたが、防衛局は「さらに協議すべき事項はないと判断した」として工事に踏み切った。

 防衛局によると、工事の委託業者は1日、現場の木々を伐採した。新基地建設に反対する市民らが現場近くで抗議した。

 工事は6月、東亜建設工業、大寛組、富島建設の共同企業体(JV)と契約しており、最新の契約額は17億6千万円に上る。工期は2023年3月末まで。

 美謝川の切り替え工事は名護市との協議も想定されていた。防衛局によると、同局が市に工事の内容を説明して事前に取るべき手続きを問い合わせたところ、市は5月、市との協議は不要との見解を示した。