美ら海近くのホテル「資産流出防ぐ」県内ファンドが取得 「センチュリオンホテル」


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前田産業が10月から運営している「センチュリオンホテル&リゾート ヴィンテージ沖縄美ら海」。伊江島や東シナ海を一望できる好立地となっている=本部町石川(提供)

 琉球銀行(那覇市、川上康頭取)など県内17社が出資する投資会社「琉球キャピタル」(同、池端透社長)は5日、同社の出資で設立した「合同会社カリー」が、リゾートホテル「センチュリオンホテル&リゾート ヴィンテージ沖縄美ら海」(本部町)を取得したと発表した。取得日は9月30日。10月1日から、前田産業(名護市、前田裕子社長)がホテルの運営を継続している。

 ホテルは1975年開業の「ロイヤルビューホテル」を前身に、センチュリオンインターナショナル(東京)が運営していた。琉球キャピタルによると、コロナ禍に伴う事業再編として、センチュリオン側がホテル売却を琉球キャピタルに打診。「県内資産の流出を防ぐ」というファンド設立の理念にかなうとして取得プロジェクトがスタートした。

 「合同会社カリー」が、特定目的会社(SPC)としてホテル取得のための受け皿になり、運用はみずほ不動産投資顧問が担当する。取得した金額は非公表だが、琉球キャピタルによると、諸経費を含め事業の総額は40億円台に上る。資金調達は、同社が運営する「琉球ファンド1号投資事業有限責任組合」の出資で4割をまかない、残りは琉銀が融資を実行した。

 前田産業は賃貸借契約を結んでホテルを運用し、従業員のほとんどを自社に転籍させ雇用を継続する。12月にも名称を「ロイヤルビューホテル美ら海」に改め、同社の他のホテルとのシナジー効果も図りながら、施設の魅力向上に努めることにしている。

 池端社長、川上頭取、前田社長が5日に那覇市で会見を開いた。池端氏は「県外資本が保有してきた、魅力ある沖縄の資産を取り戻すプロジェクトだ。緊急事態宣言も今月から解除されて先行きが明るいスタートとなる」と語り、同ホテルも含めた観光関連産業の回復に期待した。

 センチュリオンホテル&リゾートは、約1万9千平方メートルの敷地に本館(鉄筋コンクリート地下1階3階建て)と別館(同2階建て)から構成、2棟で合計120客室となる。沖縄美ら海水族館に隣接し、海洋博公園やエメラルドビーチにも徒歩で行ける好立地となっている。