学校での支援拡充を要望、雇用の質向上へ施策も 県・子の貧困有識者会議


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
県子どもの貧困対策に関する有識者会議=8日、那覇市の県市町村自治会館

 沖縄県は8日、「県子どもの貧困対策に関する有識者会議」を那覇市の県市町村自治会館で開いた。21年度までの、県の子どもの貧困対策計画を総括する最終評価報告書案について専門家から意見を聞いた。今後の課題と展開について専門家からは、学校で問題を抱える子どもの声を聞き支援にあたるスクールソーシャルワーカーの拡充や、雇用の質を向上するための施策の充実を求める声が上がった。

 沖縄国際大学の比嘉昌哉教授は「ヤングケアラーの問題は見ようとしなければ見えない大きな課題だ。子どもの声を聞いてほしい」と指摘し、学校で福祉的な役割を担うスクールソーシャルワーカーの拡充を求めた。スクールソーシャルワーカーに関し、県が市町村の実態を把握し支援する体制の構築も求めた。

 那覇市就職・生活支援パーソナルサポートセンターの永吉哲三統括責任者は、コロナ禍で生活に困窮する一人親世帯が相談窓口に殺到しているとし、「子どもの貧困は親の貧困の問題だ」と強調した。横江崇弁護士も対症療法的な施策だけではなく、雇用の質や労働環境の向上、正規雇用化や所得向上につながる施策の充実を求めた。

 中学や高校卒業後の進路未決定率の高さに関し実態調査を求める意見や、高校中退率の悪化と不登校の問題への対処を求める意見もあった。

 県は今月22日に会合を開き、今月中に最終評価報告書を取りまとめ、次期子どもの貧困対策計画の骨子案を作成する。骨子案への意見聴取や計画素案へのパブリックコメントを経て、本年度中に計画を策定して公表する。