最優秀主演女優賞の吉報に「あ、そう」 喜劇の女王、海外も笑いの渦に


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映画「なんくるないさぁ」で最優秀主演女優賞を受賞した仲田幸子さんの代理で授賞式に出席し、笑顔を見せる孫のまさえさん(左から4人目)ら=米ロサンゼルス(沖縄ピクチャーズ提供)

 沖縄の喜劇の女王は米国でも会場を笑いの渦に包み込んだ。ロサンゼルス日本映画祭2021で最優秀主演女優賞「ベストアクトレスアワード」を受賞した沖縄芝居役者の仲田幸子さん(89)は11日、授賞式会場に電話を通じて元気な声を響かせ、客席を沸かせた。評価されたのは、初主演作で、孫のまさえさんとのダブル主演となった映画「なんくるないさぁ 劇場版~生きてるかぎり死なないさぁ」の演技。幸子さんは「外国から賞をもらうのも初めて」と喜んだ。

 映画祭は、日本の文化を紹介し、国際的な交流を深めることなどが目的で、16回目。日系人社会の関係者らが日本作品を評価する。2018年には日本で大ヒットした映画「カメラを止めるな!」が最優秀賞作品に選ばれている。

仲田幸子さん(左)が主演した映画「なんくるないさぁ」の一場面((C)2021沖縄ピクチャーズ)

 授賞式には、幸子さんの代理でまさえさんが出席。まさえさんが壇上から電話で「主演女優賞におばあちゃんが選ばれた」と報告すると、幸子さんは軽い調子で「あ、そう」と返事。第一声に耳をそばだてていた会場は当意即妙なやりとりで笑いに包まれた。まさえさんは「来年は沖縄で世界のウチナーンチュ大会がある。ぜひ遊びにいらしてください」と呼び掛けた。

 映画「なんくるないさぁ」は今年1月公開。幸子さんの死から始まるコメディーで、告別式を前に遺体が持ち去られ、慌てる劇団でいご座一行のドタバタを描いた。10日に誕生日を迎えた幸子さんは取材に「孫に(映画祭へ)行ってもらい、外国にもこんなにファンがいて、喜んでいると聞いた。うれしい」と話し、さらなる活動へ意欲を見せた。

 プロデューサーの村岡克彦さんは「新型コロナで疲れている中で、笑いを届けたかった」と制作経緯を語る。「幸子さんは戦争で悲惨な思いをした沖縄を笑いで元気にしてきた。幸子さんの『なんくるないさぁ』という言葉が届けばと思う」と強調した。

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