辺野古新基地、政策の違い浮き彫りに 衆院代表質問で首相と枝野氏が論戦


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(右)衆院本会議の代表質問で答弁する岸田首相(左)代表質問する立憲民主党の枝野代表=11日

 【東京】岸田政権発足後初となる衆院本会議での代表質問が11日、始まった。立憲民主党の枝野幸男代表は、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設工事の一時中止と、米側との再交渉を打ち出した。岸田文雄首相は「十分に安定した護岸などの施工が可能だ」などと現行計画を進める考えを示し、辺野古移設が「唯一の解決策」と改めて強調した。枝野氏は「対等で健全であると言いがたい」として日米地位協定の改定を求めたが、岸田氏は消極的で米軍基地政策での違いが浮き彫りとなった。

 枝野氏は、辺野古の新基地建設工事について軟弱地盤の存在が明らかになったことで工費が膨張している点を問題視し、岸田氏に改めて工費と工期を明らかにするよう求めた。普天間飛行場の移設合意から20年以上が経過する中で、「アジアの安全保障環境も激変し、米国も世界の軍事態勢を見直している」とし、工事の一時中止と米側との再交渉を政権交代時の政策にする方針を明らかにした。

 これに対し、岸田氏は「工事完了までに9年3カ月、提供手続きの完了まで12年。経費は約9300億円と見積もりを示している」と沖縄防衛局による試算を示した上で、「十分に安定した護岸などの施工が可能だ」と述べた。

 その上で、「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性除去を考えた時に辺野古移設が唯一の解決策だ」として、従来の政府方針を繰り返した。

 枝野氏は米軍基地が所在するドイツやイタリアで対米協定が改定された一方で、「日本だけが一度も改定されてない」とし、「健全な日米同盟」の構築のために日米協定を改定するべきだとした。岸田氏は、自身が外相時に米国と結んだ環境補足協定などを成果に挙げ、「目に見える取り組みを一つ一つ積み上げていく」と述べるにとどめた。