首相、辺野古移設「着実に進める」 尖閣上陸の不許可は「総合的に勘案」 衆参代表質問


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岸田文雄首相

 【東京】岸田文雄首相は12日、衆参両院本会議の代表質問に臨み、野党代表と論戦を交わした。石垣市の尖閣諸島の字名変更に伴う行政標柱設置のための上陸申請を不許可にした件について、「総合的に勘案した結果、上陸を認めないこととした」と述べた。敵基地攻撃能力の保有については「さまざまな観点から検討する」と前向きな姿勢を示した。普天間飛行場の名護市辺野古への移設を「着実に工事を進める」とし、所信表明演説よりも踏み込んだ表現で従来の政府方針を追認した。

 岸田氏は12日午後、衆院本会議で馬場伸幸氏(日本維新の会)への答弁で、石垣市の尖閣諸島上陸申請を認めなかったことに「字名変更は市の告示により、効力が既に生じている」と説明。字名変更の石垣市議会での議決が標柱設置まで求める手続きではない点を踏まえ、「総合的に勘案した」とした。

 尖閣諸島を巡る領有権問題が存在しないという政府見解を踏まえ、「標柱を設置するか否かで(見解が)変わるものではない」との認識も示した。

 同日午前に開かれた参院本会議では、福山哲郎氏(立憲民主党)が、岸田政権が政策として掲げる敵基地攻撃能力の保有について、「先制攻撃とみなされる恐れもある」と懸念を示した。

 岸田氏は「迎撃能力を向上させるだけで、本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのかという問題意識を持っている」と説明。「極超音速滑空兵器」といった最新兵器の開発が中国やロシアなどの周辺諸国で進んでいるとされる現状を踏まえ、「さらなる効果的な措置を含むミサイル防衛能力について、さまざまな観点から検討する」と述べた。

 福山氏は、普天間基地の移設について、膨張するコストと工期長期化の問題から現行計画の見直しも求めたが、岸田氏は「着実に工事を進めることが一日も早い全面返還を実現し、(同基地の)危険性除去につながる」と強調した。