誤解や中傷、そして励まし…コロナ陽性を公表した男性に起きたこと


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
新型コロナウイルスの陽性確認を知らせる張り紙を貼った赤嶺徳仁さん。現在は営業中=9月28日、那覇市ののうれんプラザ

 【那覇】9月1日、那覇市ののうれんプラザ1階のレンタルショーケースショップ「キューブ」のシャッターに、新型コロナウイルスの感染確認を公表する紙が貼り出された。自ら感染を公表する人は少ない中、店舗代表の赤嶺徳仁さん(50)が「客商売をしているからには責任を持たないといけない」と、従業員に依頼して表示した。その後、赤嶺さんは重症化し入院。退院後、家族や従業員が感染を恐れる人たちから心ない言葉を受けていたことを知った。

 体調不良のため、8月31日にPCR検査を受診し結果待ちだった。その日の夜に自宅で意識を失い、目覚めた後に自ら救急車を呼んだ。99~96%が正常値とされる酸素飽和度は80を切っていた。病院で陽性と判明し、重症化病棟に入った。

 頭をよぎったのは、「お客さんのこと」。すぐに従業員に自身の感染確認を知らせる張り紙の貼り出しを頼んだ。以前、のうれん内で陽性者のうわさが広まり、不確かな情報に不安がる人を目にした。自分が感染した際は公表しようと決めていた。

 濃厚接触者となった母・順子さん(77)は検査で陰性だった。しかし、順子さんは手伝いをしている店からは「しばらく来ないでくれ」と言われた。赤嶺さんと別世帯のことや検査結果を説明したが「うそかもしれないし。顔を出さないで」と容赦ない言葉が続いた。赤嶺さんは入院中だったが、店は9月11日から営業を再開。従業員に対し「なぜ、開けるの?」と声を掛ける人や、店の状況を確認し、後ずさりする人もいた。

 「恐れるのは悪いことではない。ただ、正しい知識を持って恐れるべきだ」と赤嶺さん。濃厚接触者の陰性確認や自宅待機などの措置を取ったにも関わらず、投げ掛けられた無分別な態度や言葉に憤る。

 一方で、感染公表に対し、好意を示す人たちもいた。17日に退院し、20日から店番に戻ると、近くの店舗の代表や客から、感染公表への励ましとお礼の言葉をもらった。「母や従業員には嫌な思いをさせてしまったが、公表は間違っていなかった」と語る。「感染の恐怖は分かる。それならば確かな情報をしっかり学ぶことが重要だ」と繰り返した。
 (新垣若菜)