変動の時代に子どもたちから学ぶこと 多様性ファイシリテーター平良亮太<未来へいっぽにほ>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2012年、高校2年の人生初カミングアウトから9年。当時はLGBTという単語も知らず、孤独に悩んでいた。その後、認知度は広がり、日本でも21年9月時点で115の自治体がパートナーシップ制度を導入している。国の制度はまだ整っていないが、広島修道大学の調査によると、40~50代で7割、60~70代でも5割近くが同性婚に賛成している。確実に私たちの意識は変化している。

 社会の変化には制度や環境などの外部変化と、価値観や考え方などの内部変化が相互に影響しあっている。テクノロジーの進歩と共に、私たちはさまざまな変化を瞬時に入手できるようになった。情報更新スピードと比例して日々私たちの価値観はアップデートされているが、LGBTQに関連する制度や環境の変化のスピードはまだ追いついていないのかもしれない。

 教育分野でも大きな環境変化が起こっている。20年度から小学校、21年度には中学校、そして22年度から高校で新学習指導要領がスタートする。答えのない問いに対して自分なりの答えを出していく力、得た知識を社会の中で活用する力がこれからは求められる。学びの環境が変わり、子どもたちの価値観や考え方は変わっていくだろう。

 ステイホームの時間が増えたこともあり、私たちは改めて働くことの意味、学ぶことの意味を考えるようになった。SDGsという言葉と共に「環境、社会的により良いことを」という価値観も浸透し始めている。

 前掲の調査によると20~30代では同性婚賛成の割合は8割に上る。10代の子どもたちにとっては、同性婚の賛成、反対を問うことすら疑問かもしれない。変動の時代に必要な価値観や考え方を身につけた子どもたちから、私たち大人が学ぶことは多いはずだ。