〈80〉コレステロールが高い 放置せず心筋梗塞予防


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 特定健診や人間ドックで、血圧や血糖値とともに気になるのがコレステロールの値ではないでしょうか。特に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高い人は、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化疾患になる確率が上がることが分かっています。その中でも過去に心筋梗塞や脳梗塞を起こしている方、喫煙者、高血圧、糖尿病をお持ちの方はさらに確率が上がります。悪玉コレステロール値を下げることでその確率を下げることができます。

 特に、過去に心筋梗塞を起こした方や糖尿病の方などハイリスクと言われる方々では悪玉コレステロールを下げたことでの心筋梗塞・脳梗塞の予防効果は高いとされています。ではどのように下げればよいでしょうか。卵や肉などのコレステロール含有が多い食事の制限は、実はそれほど悪玉コレステロールに影響していません。コレステロールは糖質、脂質などから体内で大部分が合成されます。そのため糖質、脂質などを含めて総合的な食事管理が必要になります。

 特に脂質の中では脂身の多い肉(バラ肉など)、バター、ラード、生クリームなど飽和脂肪酸は注意が必要です。工場で加工された人工油(マーガリンやショートニングなど)はトランス脂肪酸という悪玉コレステロールを上昇させ、心筋梗塞を増やすとしてアメリカでは2013年に使用禁止となっています。

 他には運動も重要です。悪玉コレステロールを回収し体外に出してくれる善玉コレステロール(HDLコレステロール)を少し増やすことができます。しかし、それでも悪玉コレステロールを体外に出す仕組みは遺伝的に個人差があり、下がりにくい人が結構います。

 そのような方々はコレステロールを下げる薬(スタチン系が代表薬)が必要となります。薬は副作用やコレステロールの下がりすぎを心配して飲みたくないという方は結構いますが、ハイリスクの方々では飲むメリットの方が大きいです。コレステロールは血糖値や血圧と異なり、下がりすぎによる危険がほとんどなく心筋梗塞を予防する安全で確実な治療です。高いと言われたら放置せずかかりつけ医と相談していただけると良いと思います。

 (當間裕一郎、琉球大学病院 循環器内科)