第三者委の設置求める うるま記念病院クラスターでイルカ・沖福連が県と意見交換 


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
うるま記念病院で発生したクラスターの経緯や課題などについて、県の説明を受ける県自立生活センター・イルカと県精神保健福祉会連合会の関係者ら(左列)=27日、那覇市の南部合同庁舎

 うるま市のうるま記念病院で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)の原因究明や対策を求め、県自立生活センター・イルカと県精神保健福祉会連合会(沖福連)は27日、県との意見交換を行った。県からは、今年1月に同院で計76人の感染者が発生したクラスターで、患者14人が死亡していたことも報告された。沖福連の高橋年男理事は「多くの犠牲が出ており、病院の在り方などを議論する必要がある。精神科病院全体が社会から隔離されている状況は不安だ」として、第三者委員会の設置を求めた。

 県側は大城玲子保健医療部長や糸数公医療技監らが出席。県によると、うるま記念病院では7月19日に職員と患者各1人の感染が確認され、その後大規模なクラスターになった。今年1月にも同院で一度目のクラスターが発生したことへの警戒から、県は7月20日に院内に現地本部を立ち上げた。看護師や介護士計52人の派遣のほか、病棟のゾーニングやベッドの移動、家族対応支援としてタブレット端末を使った面会などを行った。発生初期の新型コロナ患者の転院について県は緊急性や重症化リスク、酸素投与の必要性などを判断基準としている。当時、県内の医療体制がひっ迫し、転院調整は困難な状況で、院内療養も並行して行ったとして、糸数技監は「障がいの有無が転院の判断に影響を与えたとは考えてない」と説明した。

 再発防止策として、精神科病院や高齢者施設などを対象とした個人用防護具の着脱研修のほか、病院側に再発防止策の策定と徹底を指導することを挙げた。

 県によると、うるま記念病院のワクチン2回接種完了者は7月19日時点で、入院患者270人のうち19人(7%)、職員198人のうち148人(74・7%)。8月末時点では入院患者98人(36・3%)、職員158人(79・8%)となった。

 イルカや沖福連の関係者は今月19日にうるま記念病院を訪問し、院長らと面談。入院患者へのワクチン接種率が低い要因について院側から明確な答えは得られなかったという。県は「うるま市からの情報では、市は病院にワクチンを届ける手配を行っていた状況だが、その中で入院患者への接種が遅くなった理由は把握できていない」とした。

 イルカの長位鈴子代表や沖福連の高橋理事は第三者委員会の設置を求め「事実に基づいた議論が必要だ」「病院やその他の施設にも構造的、制度的問題がある。県民が共有できるようにしてほしい」と話した。