高温水で外来植物のツルヒヨドリ駆除 金武町など実証実験


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ツルヒヨドリが群生する排水路のり面に、高温高圧洗浄機を使って温水を散布し駆除効果を確かめる実証実験=28日、金武町金武

 【金武】県内で分布域を拡大している特定外来生物のつる性植物「ツルヒヨドリ」を効果的に駆除するため、金武町は28日、ケルヒャージャパン(本社・横浜市)と協力して温水高圧洗浄機を使った駆除方法の実証実験を開始した。高水温の水を散布し、根を死滅させる。環境負荷の低減や労力削減が期待される。

 町内ではツルヒヨドリが遊休農地や排水路に群生。広域の除草剤散布は環境や農作物に影響するため、町職員が手作業で除草してきたが、繁殖力が強く作業が追いつかなかった。

 同社の温水高圧洗浄機は工場などの油汚れ除去に通常使われるが、国内で雑草駆除などにも活用されていることから、効果的な駆除法を模索する町側が実証実験を持ち掛けた。

 駆除は、温水を地表から特性ノズルで散布して地中に染みこませ、70~80度の温水が根に浸透することでタンパク質構造を変異させ死滅させる。同社によると手作業の除草は根が残るなどしてすぐに伸びるが、温水を使うことで作業の量や回数が軽減できる。

 実験では、ツルヒヨドリ群生地を2区画に区切り、温水高圧洗浄機による除草と、環境省が推奨する手作業での除草を数カ月かけて比較検証する。

 町農林水産課の金城貴也主事は「温水をまくだけで草の処分も不要なので作業が楽で、環境に優しい」と効果に期待。温水散布を視察した沖縄奄美自然環境事務所の小野宏治さんは「温水がどれだけ根に浸透して駆除できるか、効果を見極めたい」と語った。