釣り鐘返還 故郷で音色 沖縄戦時に米兵が持ち出す 県立博物館に展示へ


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米国から時を超えて帰ってきた沖縄戦当時の釣り鐘に興味津々の小学生たち=2日午前、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館(ジャン松元撮影)

 沖縄戦当時、沖縄から持ち出され、米フロリダ州で保管されていた釣り鐘が沖縄に戻ってきた。2日、県立博物館・美術館で関係者が集いセレモニーが開かれた。釣り鐘は常設展示室入り口で展示される。

 釣り鐘は、沖縄戦で米第10陸軍司令官を一時務めたロイ・ガイガー中将の孫娘のメラニー・カーティスさんが所有していた。返還交渉に当たった琉米歴史研究会の喜舎場静夫理事長によると、カーティスさんは当初、返還に難色を示していたが、首里城火災による多くの文化財の焼失を知り、返還を申し出てくれたという。

 セレモニーで、学芸員らが輸送用木箱を開封すると、青緑色の高さ約66センチ、口径約36センチ、重さ約40キロの鐘が姿を現した。

 県立博物館・美術館の田名真之館長は、沖縄戦などで海外に流出した文化財の調査研究や取り扱いの検討を進める考えを示した。

 県立博物館友の会の仲間孝藏会長(78)と修学旅行で来館していた国頭村立安波、安田、奥小6年の児童が木づちでたたくと「カーン」と音が響いた。仲間さんは「悲惨な戦争で流出し、長い旅の末に帰ってきた」と関係者に感謝した。安田小の小形美楽さん(12)は「沖縄の文化が帰ってきた」と喜んだ。