琉球交響楽団(琉響)の第40回定期演奏会が10月24日、沖縄市民会館大ホールであった。66人の編成で、グリンカの歌劇やムソルグスキーの組曲などを披露した。チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲ニ長調 作品35」ではバイオリニストの高宮城凌と協演した。高宮城の叙情的なバイオリンの音と、琉響の多彩な演奏が融合した。指揮は大友直人、コンサートミストレスは阿波根由紀(バイオリン)。
グリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲で幕は開けた。駆け抜けるような速さからゆったりとしたメロディーまで変化に富んだ躍動感のある楽曲。会場を華々しく彩った。
チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲―」の第1楽章ではオーケストラの強弱の豊かな膨らみのある演奏に、高宮城のやや鋭さのある研ぎ澄まされたバイオリンの音色を対比的に響かせた。
第2楽章はゆったりと木管楽器の柔らかな音色で静寂な情景を浮かび上がらせ、第3楽章は後半になるにつれ、躍動感あふれる音色が交差し、ダイナミックな演奏に観客から拍手が沸いた。高宮城はアンコールに、エルンストの「シンフォニックエチュードより第3番」で応え、硬軟を織り交ぜながら情緒豊かな演奏を聴かせ、バイオリンのふくよかな美しい音色で魅了した。
トリはムソルグスキー作・ラベル編曲による組曲「展覧会の絵」を披露した。友人のヴィクトル・ハルトマンの遺作展を歩き、印象に残った10枚の絵を音楽で描写する。短い前奏曲、間奏曲でつなぐ「プロムナード」で物語の世界へ引き込んでいった。トランペットのソロとさまざまな楽器が奏でる旋律が素朴でありながら力強さを感じた。最後の「キエフの大門」は打ち鳴らされる鐘の音に迎えられ、凱旋(がいせん)のようなスケール感に満ちたダイナミックな演奏に、観客からの鳴りやまない盛大な拍手が贈られた。 (田中芳)