浄水場の廃棄素材が食器に!生分解性プラスチック開発 公庫融資で事業化へ


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
沖縄振興開発金融公庫から挑戦支援資本強化特例制度の適用を受けたことを報告するワールド・リンクの大山尊司社長(中央)、沖縄公庫融資第二部の仙野健課長(右)ら=27日、那覇市おもろまちの沖縄公庫本店

 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)はこのほど、ワールド・リンク(うるま市、大山尊司社長)に対し、挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)を適用し、2千万円の融資を実行したと発表した。同社は県内浄水場から排出される炭酸カルシウムを原料に加えた生分解性プラスチック「サステナプラ」を開発した。今後、環境負荷の少ない食器を生産・レンタルする事業を立ち上げ、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目指す。

 ワールド・リンクは、船底や護岸に付着するフジツボなど海洋生物の忌避剤を研究開発している。製品の原料に使用する炭酸カルシウムが、浄水場で水の硬度を低減する際に生成・廃棄されていることを知り、生分解性樹脂と混合したプラスチック素材を考案した。県工業技術センターとの協働で研究し、製造技術を確立している。

 2022年9月をめどに事業化を計画しており、業務提携するタイガー産業(うるま市、島袋盛義社長)の工場で食器を生産し、ホテルや企業の社員食堂、飲食店向けにレンタルする。

 同社によると、生産の際の二酸化炭素の排出が従来の製品に比べて6割抑制され、自社管理の下で数回リサイクルする。最終的には、生分解や新たな原料に再利用することで廃棄物を出さない循環型サービスを目指す。

 融資を受けた2千万円は、販売促進や人件費に充てることにしている。

 10月27日、那覇市の沖縄公庫本店で開いた会見で大山社長は「さまざまなプラスチック製品を作ることができる。事業者はサステナプラを使うことで、環境に貢献することができることを知ってほしい」と話した。