西銘恒三郎沖縄担当相 予算3000億円台を明言せず 遺骨土砂「使うことないだろう」


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インタビューに答える西銘沖縄担当相 =8日、東京

 【東京】西銘恒三郎沖縄担当相は8日、大臣就任後初めて本紙などのインタビューに応じた。来年、日本復帰50年の節目を迎える沖縄の新たな振興策について「必要な予算をしっかり確保していく」と述べたが、過去10年間維持された沖縄関係予算3千億円台の確保については明言を避けた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事で、沖縄戦の戦没者遺骨が混じるおそれのある土砂の使用について「遺骨の問題は大変重要」とし、「使うことはないだろう」と改めて否定的な見解を述べた。

 西銘氏は沖縄関係予算について、岸田政権に3千億円台を確保する方針があるかを記者団に問われ、2013年に当時の安倍晋三首相と仲井真弘多知事の間で「(21年度までの3千億円台確保の)約束があったと承知している」と述べた。その上で、内閣府が22年度の概算要求額2998億円を示した点を踏まえ、「担当大臣としてはとにかく必要な予算をしっかり確保していく」とだけ述べた。

 内閣府が8月に示した「基本方向」に沿って振興計画をまとめる考えを示した上で、課題とされる「子どもの貧困」の解消や全国最下位の県民所得の向上に向けて、「せめて30番台に持って行く取り組みをしたい」と意欲を示した。存廃が焦点となっている沖縄振興開発金融公庫については「地元の要望は極めて強い」としながらも、「政府内の調整をしっかりしないといけない」とした。

 酒税、揮発油税の軽減措置が含まれる沖縄関係税制にはコロナ禍の県経済の状況を踏まえ、「厳しい状況になるという基本認識を持ちながら(自民)党税調の動きを見守る」と述べた。

西銘沖縄担当相一問一答
「県民所得、全国30番台に」

 西銘恒三郎沖縄担当相と報道陣との主なやり取りは次の通り。

 ―岸田政権で、沖縄振興予算3千億円台は維持か。
 「安倍元首相と仲井真元知事との間で『3千億円台』という約束があったと承知している。概算要求は事務的な積み上げで2998億円プラス事項要求になった。担当大臣としてはとにかく必要な予算をしっかり確保していく」

 ―「子どもの貧困」などの課題の改善策は。
 「(全国最下位の)1人当たり県民所得はもう少し上がっていかなければいけない。せめて30番台に持って行く取り組みをしたい」

 ―衆院選の受け止めは。
 「選挙結果は県民の判断だ。結果を真摯(しんし)に受け止める。万が一選挙区で負けたら大臣の職は遂行できなかったが、幸いにも選挙区での信任を受けた」

 ―税制改正、沖縄振興開発金融公庫の存続は。
 「コロナ禍で厳しい状況の中にあるという基本認識を持ちながら、党税調の動きを見守っていく。公庫存続は地元の強い要望として受け止めている。その上でこれから政府内で調整していかないといけない」

 ―辺野古新基地建設での土砂使用計画について。
 「所管外だが、遺骨の問題は大変重要だ。土砂調達については防衛省でしっかり検討していくが、県民の思いにも関わる。一般論として『土砂の中に遺骨が入っていたら使うことはないだろう』と誰でも思う」