大浦湾の移植サンゴ「経過順調」 防衛局が環境監視委に報告


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、沖縄防衛局は8日、「環境監視等委員会」(中村由行委員長)の会合を那覇市のホテルサンパレス球陽館で開いた。防衛局は大浦湾側のN2護岸建設に伴い、8月11日までに移植した小型サンゴ類831群体について、移植後1カ月にかけて死滅・消失がみられないことから「経過は順調」と報告した。

 防衛局は移植したサンゴのうち、約1割に当たる90群体で移植前、移植直後、1カ月後に生育状況などのモニタリング調査を実施した。この群体のサンゴ移植について、委員からは「移植とモニタリング実施頻度は適切」と評価する意見が出た。N2護岸で台船を使って土砂搬入を始める方針も報告した。防衛局は周辺のショウガサンゴや大型サンゴは移植しないまま、護岸を使用する方針だ。

 県が同委員会に送付した高水温期の移植の妥当性を問う公開質問状について、防衛局は「委員会は答える立場にない」と、回答しなかったことも報告した。この対応について、委員から質問やコメントはなかった。中村委員長は委員会終了後の記者ブリーフィングで「事務局と相談してこの対応が妥当と考えている」と述べた。

 サンゴ移植を巡り、日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全学術委員会は県の意見照会に高水温期のサンゴ移植を「避けるべき」と回答した。学会の意見について、中村氏は「事務局で対応を検討し、次回議題にするか相談したい」と語った。

 防衛局は、8日の会合で2018年に移植したオキナワハマサンゴについて3年間のモニタリングの結果「移植先に十分に順応した」とまとめたことや、大浦湾側の護岸周辺で今年7~9月に貝などの生物29種112個体を移動させたことなども報告した。