沖縄の観光指標「入域客数」から「人泊数」重視へ 次期振興基本計画で変更提案


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第6次県観光振興基本計画について議論する県観光審議会の委員ら=10日、那覇市の県青年会館

 県文化観光スポーツ部は10日に開催した第2回県観光審議会(会長・下地芳郎沖縄観光コンベンションビューロー会長)を那覇市の県青年会館で開き、これまで沖縄観光の指標としていた入域観光客数を、第6次県観光振興基本計画(2022~31年度)では「人泊数(延べ宿泊者数)」に変える方針を提案した。

 消費単価増の目安に

 人泊数は宿泊人数と宿泊日数をかけた数値。一人当たりの滞在日数の増加を重視することで消費単価を向上し、観光収入の底上げを図る狙いがある。

 審議会では、第6次基本計画の目標値や施策内容などを審議した。

 県は計画最終年度の31年度の人泊数を、年間4452万~5500万人泊の3パターンと想定して、今後の議論を進めることを提案した。

 最も多い想定では、国内客788万人が平均5泊し3940万人泊、海外空路客260万人が平均6泊し1560万人泊。海外海路客も含め、観光収入は過去最多だった18年度の倍以上の1兆5162億円と試算した。

 しかし、第5次基本計画で21年度時点の目標として掲げていた4200万人泊を達成できていないことから、出席した委員からは目標として現実的ではないとの意見が出た。

 日本旅行業協会の東良和理事は「年間5500万人泊だと、毎日宿泊施設がオーバーブッキングしている状況で無理だと思う。もっと低くても良い」と指摘した。下地会長は「急激な宿泊施設の伸びを懸念する声が大きい。宿泊数だけでなく1日当たりの消費単価を組み合わせた方が妥当な目標になる」と述べた。

 県は今後、審議会で出た意見を踏まえて、第5次計画の目標値年4200万人泊をベースに案を練り直す。目標値の指標に、県民の県内旅行者数も盛り込むことも検討する。

 16日に県文化観光スポーツ部会を開いて修正案を提案し、12月に答申する。その後市町村などに意見を照会して修正し、22年5月に国に提出する予定。