米軍、事故後も訓練続行 騒音、深夜まで【事故後の動きドキュメント】


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飛行訓練を繰り返す米軍機=24日午後1時45分ごろ、宜野湾市の米軍普天間飛行場

 米軍普天間飛行場の輸送機MV22オスプレイから水筒が落下した23日、周辺地域では終日米軍機が飛び交い、午後11時前まで騒音が響き渡った。一夜明けた24日、人的被害は確認されなかったが、落下事故が明るみになり、基地あるがゆえの日常の危険性を改めて突き付けられた周辺住民は一層の不安と恐怖に陥った。

 「オスプレイや軍用機が低空飛行でとてもうるさいです。子どもが泣くくらいです」「ホントに一日中騒音まみれで、ひどい環境です」―。宜野湾市が設置している基地被害110番には、祝日だった23日も市民からの訴えが寄せられていた。県や市の騒音測定調査によると午前7時過ぎから午後11時前までの間、断続的に米軍機の飛行が続いていたことが確認できる。

 落下があったのは23日午後6時45分ごろだった。現場には24日朝に県警の捜査員らが駆け付け、現場を写真に収めたり、破片を拾い集めたりした。

 落下現場から約50メートルのアパートに住む大城良太さん(36)=会社員=は子どもを抱きかかえながら捜査の様子を見下ろしていた。落下時の音は「聞こえず、気が付かなかった」と振り返った。過去に市内の緑ヶ丘保育園や普天間第二小で落下事故があっても実感が湧かなかったというが「あまりに近い場所で、身につまされた。子の将来を考えると不安になった」と語った。

 落下現場からわずか数軒隣に住む照屋ツル子さん(80)は24日朝、現場に警察の規制線が張られているのを見て「殺人事件でも起きたのかと思った」と物々しい雰囲気に驚いたという。落下事故に対して「毎日夜10時、11時の寝る時間まで米軍機が飛行してやかましい。頭にでも当たったら砕けるんじゃないか。許せない」と憤った。


<ドキュメント>

[23日]
 18時45分 普天間飛行場のMV22オスプレイから水筒が民家玄関先に落下
 22・20 深夜まで飛行していたオスプレイが普天間飛行場に着陸
 23・00 住人が落下物に気づき、知り合いの市議を通じて市に連絡
[24日]
 9・00 松川正則市長らが現場を確認し、住人に「不安を与えて申し訳ない」と述べる。市は沖縄防衛局などに連絡。米軍のオスプレイは朝から飛行訓練
 9・17 沖縄防衛局から県に通報
 9・19 市が宜野湾署に通報
 9・30 県警が現場検証を始める。沖縄防衛局、県、市も立ち会う
 10・11 沖縄防衛局から市に、オスプレイからの落下物であることなどの連絡がある
 12・55 警察関係者などが現場から引き上げ、規制線が解除される
 13・10 水筒が落下した付近に住む男性(74)が「自宅近くでこんなことが起こるなんて。事故にならなくてよかった」と話す
 13・41 伊波洋一参院議員が視察に訪れ、「危険性除去に逆行している」と訴える
 15・03 沖縄防衛局から県に追加情報
 15・30 落下した住宅に住む女性がコメントを発表。「不安を感じている。再発防止策を講じてほしい」
 16・30 松川市長が沖縄防衛局を訪れ、抗議。「人命に関わる重大事故につながる。非常に残念」
 17・48 玉城知事が報道各社の取材に応じ「米軍の安全管理体制に強い疑問を抱かざるを得ない」と強い憤りを表明