遺骨を発見したら…状況や記録の保存を 情報センター、収集者に協力求める


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沖縄戦戦没者遺骨を収骨する際のお願いを呼び掛けた県平和祈念財団の松川満常務理事と戦没者遺骨収集情報センターの岩下喜博センター長=15日、糸満市摩文仁の戦没者遺骨収集情報センター

 沖縄県内も涼しくなる季節を迎え、沖縄戦戦没者遺骨の収集活動が活発になるとして、県平和祈念財団が運営する戦没者遺骨収集情報センターはこのほど、遺骨収集ボランティアとして活動する人びとに対して、「命、遺骨、文化財を守る」ためのお願いを呼び掛けた。

 県平和祈念財団の松川満常務理事は「遺骨が出土する場所には不発弾も埋まっている可能性が高い。また、出土現場の状況証拠を保存することで遺族へ返還できる可能性が高くなる」として、(1)遺骨を発見したら警察・市町村(援護担当主管課)に通報する(2)収骨前に土地所有者へ確認を取る(掘削等許可)(3)出土・収集時の状況記録―の3点に協力するよう求めた。遺骨を発見した場合、事件性の有無を確認する必要があるため、まず警察への通報が必要になる。周辺から不発弾が出土した場合も同様だ。さらに、出土区域が各市町村の埋蔵文化財や戦争遺跡の指定区域かどうかを確認するため、市町村へ通報し、教育委員会等に確認する必要がある。

 また、遺骨を一体でも多く遺族へ返還するためには、出土現場の状況を記録することが重要だ。戦没者遺骨収集情報センターでは戦没者遺骨の情報収集や整理をしており、センター長の岩下喜博さんは「遺骨が出土した現場や、同時に出土した遺留品と遺骨の位置関係など、発見時の状況を示す記録が遺骨の身元判明などに役立ち、遺族への返還につながる」と話す。遺骨の残る場所には、足場の悪い山中やガマの中など、危険な場所が多い。安全面に対する配慮を前提としながら、「ボランティアの勇気ある行動と、細かな心配りが、遺骨の収容と返還につながる。引き続き、ご協力をお願いしたい」と呼び掛けた。

 県によると2019年4月から20年3月までの収骨数は56体。累計は18万5311体。

 戦没者遺骨収集情報センターの窓口は(電話)098(997)4123。平日の午前9~午後5時まで。

(名嘉一心)